「メアリか」

テラスに置いた椅子で、目を閉じていた老人が呟きます。

「起きてらしたんですか」

うたた寝していると思い、毛布を掛けに来たメイドは、主人の問い掛けに答えました。

「起きておるわ」

「ここでは、お風邪を召します。中にお戻りになられては」

「ふん、風邪など」

「たかが風邪と、あなどるものでは、ございませんわ。こじらすと、命取りですわよ。もう、いいお年なんですから」

「…最後の一言が、少々余計だな。ともかく私は、風邪もひかんし、死にもせん」

「まあ、なぜです」

「私は、100歳になるまで、死なん事にしている」

「…そんなに生きる、おつもりですか」

「そんなにとは、失礼だな、君」




シャーリー (Beam comix)
森 薫
エンターブレイン
2003-02

    

    
★過去の作話★「月白の諧謔」

「1日1回」クリックお願いします!
にほんブログ村 漫画ブログ 漫画備忘録へ