「…何?」

海に入った女性は、自分のすこし先の方に、細長い何かが、浮いているのを見ます。

そんな彼女は、後から来る夫に、緊迫した声を掛けられました。

「莫迦、触るな、それはウミヘビだ!」

女性には、そこに浮いてるものは、単なる流木に見えません。

「…ウミヘビなんて、そうそういるもんなの?」

そう考えた彼女は、浮遊物に向かって、手を伸ばします。

手に取ってみせて、唯の木の枝に過ぎないと、後ろの夫をを安心させようとしたのです。

海に浮いている細長い何かは、そのタイミングで、波の流れに逆らい、まるで、伸ばした手に捕まるまいとする様な、妙な動きを見せます。

「ウ、ウ、ウ、ウミヘビ!!」

動かないはずの浮遊物が動くのを目撃した女性は、大きな驚きの声を挙げました。

女性に追いついた男性は、有無も言わさずに、彼女の片方の手首を掴みます。

男性は、手首を掴んで腕を引き、波打ち際まで向かう途中で、妻に聞きました。

「な?ウミヘビだっただろ?」

女性は、腕を引かれながら頷きます。

「…うん」

「毒があるものを、素手で触ろうとしたら、いけないよ」

「えー!毒があるの、あれ!」

「…知らなかったの?」

「…あそこまで流木に似ているくせに、その上毒まであるなんて…、許せないわ。あんまりじゃない。」

「は?」

「あんなに、姿形が似てるなら、ウミヘビと流木を間違えて、うっかり掴んじゃうような事、多い筈。それなのに、毒があるなんて、許しがたいじゃない!」





    

    
★過去の作話★「月白の諧謔」

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