「…何か、気配がします」

部屋で、いきなり葉月さんは立ち上がりました。

続いて、キョロキョロと、辺りを伺いだしたのです。

突然の出来事に、話し相手だった芽生子さんが あ然となります。

暫くして、葉月さんの視線は、ある鞄に固定されました。

視線を追った芽生子さんは、葉月さんに聞きます。

「─ 私の鞄が、どうかし…」

芽生子さんが言い終わるのをまたずに、素早く鞄に手を伸ばす葉月さん。

「ちょっと葉月!人の鞄を、どうするつ…」

最後まで言わせず、開けた鞄から紙袋を取り出した葉月さんは、芽生子さんの目の前に突き出します。

「これ、クッキーですよね?」

「…そうだけど。」

「私の大好物、なんです…」

「─ だから、何?」

「私今、クッキー断ちをしてるんですよ!願掛けで。」

「…は?」

「何で…こんな意地悪、するんですか?」

葉月さんのあまりにも不条理な物言いに、芽生子さんは むっとしました。

「…別に、あなたに食べさせるために、持って来たワケじゃないって、知ってた?」

その言葉を聞いた葉月さんは、自分のしでかした事に気づきます。

「…あ。」

我に返った葉月さんに、芽衣子さんは問い掛けました。

「人の鞄を勝手にあさって、文句言う人って、どう思う?」

「…よ、良くないと…思い、ます」

答えてシュンとなった葉月さんに、芽衣子さんは意見します。

「─ 何をするにしても…周りに迷惑かけない様に、やってくれると、嬉しいかな。」

「も、申し訳…ありま、せん」

「いくら願掛けでも、クッキーを、匂いじゃなくて、気配で探すように様になる程自分を追い込むのは、止めた方が良いと思うけど。」



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葉月さんのお話



    

    
★過去の作話★「月白の諧謔」

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