銀曜日の戯言

領国は越前敦賀 官位は従五位下 官職は刑部少輔

「契りあらば 六の巷に まてしばし おくれ先立つ 事はありとも」

ご訪問、有難うございます。

当ブログでは、コミックや文字本の、興味深かったエピソードや、個人的な駄文、オリジナルの作話を掲載しています。

作話

案内して

「あなた…道に迷ってる?」

黄昏て、薄暗い安威山。

生い茂った木々から散った葉や雑草に覆われ、半ば消えかけた獣道。

立ち尽くしていた背中に、私は声を掛けた。

振り返った顔は、好みのタイプ。

ニヤけかける顔を、引き締める。

「麓に行きたい?」

うなずく眼鏡男子。

すかさず、腕を伸ばし手を繋ぐ。

「案内してあげる」

手を引かれて、男の子も歩き始める。

「私、こまや。あなたは?」

「て、哲弥」

「ひとりで来たの?」

「いや、叔父達と」

「何でそんな軽装で、山歩きなんかするかな」

「ハイキングコースを歩くだけって、事だったので…」

殊更仰々しく、私は言った。

「そんな服装で夜明かししたら、冬じゃなくても凍え死んじゃうだからね。」

「─」

「だから私は…命の恩人って事♡」

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麓の建物の明かりが見える所で、私は繋いでいた手を ほどく。

「この1本道を下れば、無事に 下山出来るから」

「あ、ありがとう。。。」

「はい、行った行った!」

道の先と私を交互に見る哲弥の背中を、軽く叩いた。

「ただ…これだけは、約束して」

「?」

「今日の事は、誰にも言わない事」

「どうして?」

「私が、ヒトじゃないから」

「…は?!」

「決まりなの」

「も、もし…約束を破ったら?」

「─ 死んでもらうから。」

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「今日って…11日だっけ」

ベンチの隣で呟いた哲弥の顔を、私は覗き込む。

「用事でも思い出した?」

「先月の昨日の事を、思い出しただけ」

「何が有ったの?」

「山での、初 遭難記念日」

「…え!?」

私は声を上ずらせた。

「ま、またぁ…大げさにぃ」

「助けてもらえなかったら、悪くすると凍え死?」

「そ、そうなんだぁ…」

「宇江山で、なんだけどね」

「─ は?」

「背の低くくて…ショートヘアの ぽっちゃりさんな女の子に、助けてもらった」

反射的に私は、哲弥が掛けていた眼鏡を取り上げる。

「命の恩人の姿も ちゃんと見えないポンコツに、こんなものは不要!」

「─ いきなり、何?」

「私の何処が、ぽっちゃりなの?!」

「…」

「髪だって短くないし、背だって哲弥より高いでしょ!」

語気を荒げて、私は食って掛かった。

「あんたが助けられた場所は安威山で、日付は先月の昨日じゃない!!」

「─ 僕は、何も言ってないから。」

我に返った私は、自分が しでかした事に気が付く。

「ひっ?!」

「バラしたのは、こ・ま・や だからね。」

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「…いつから、気が付いてたの?」

私から取り返した眼鏡を、哲弥は掛け直す。

「こまや が転校してきた初日から」

「な、何でぇ!?」

「名前も変えず、同じ顔のままで現れて、何で ばれないと思うかな」

「よ、妖力で、気が付かれない筈なのにぃ…」

「─ 効いてなかったみたいだね」

脱力する私の肩を、哲弥は引き寄せた。

「参考に訊きたいんだけど」

「…」

「何で、話したら駄目な訳?」

「き、決まりだから。」

「で…守らないと、どうなるの?」

哲弥の問い掛けに、私は困惑する。

「そ、それはぁ…」

「こまやは…僕を殺したいんだ」

「そ、そんな筈ないでしょ?!」

唇を噛む私に、哲弥が微笑む。

「─ じゃあ、そう言う物騒な決まりは…な・し」

「え…!?」

「ね?」

顔を覗き込まれ、大きく頷く私。

何故なら哲弥の事が、もう取り返しが付かないくらいに、好きになっていたから♡



    

    
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知ってるしぃ。

「出たな化物!」

魔法陣の中に向かって、私は叫んだ。

異形の物が、不機嫌そうに応じる。

「我輩は悪魔だ。失敬なヒトめ…」

「冗談の通じないやつ。」

私は腕を組んだ。

「そんな事は、召喚した本人だから 知ってるしぃ」

「其方…我輩に何を望むのだ?」

「別に何も」

悪魔は虚を突かれた様子だった。

「で、では…我輩を、何故呼び出したのだ?」

「実は私、召喚術使い なんだけどね…」

天井を仰ぎ見ながら、私は呟いた。

「─ ほら、術って…たまには使わないと、忘れちゃうじゃない。」

「は?」

「ぶっちゃけ…スキル維持のために、呼び出しただけ」

沈黙する悪魔。

気を取り直して、声を低く響かせる。

「い、何れにしても…我輩を呼び出した代償は頂く」

「もしかして…魂?」

「当然だ」

「魂を要求して良いのは、願いを叶えた時と、契約がある時 だよねぇ…」

「う」

「あんた…何にもしてくれてないよね?」

「うう」

「─ 私、契約した覚え、ないんだけどぉ」

「ううう」

「約定と掟を重んじる悪魔が…そう言う事して、良いのかなー」

「うううう」

「騙そうとしたんでしょうけど、私を侮らないでね!」

「ううううう」

脇のテーブル置いておいた、年代物の羊皮紙に私は手を伸ばす。

「良いもの、見せてあげるね」

革紐を解き、悪魔に広げた皮紙を見せる。

「さて これは、何でしょう?」

「マ、マダクイア閣下の親書?!」

「代々うちの家系は、それなりに親交があってねぇ…」

狼狽える悪魔に、私は微笑む。

「近々 会うから…ついでにチクっちゃお♡」

「ご、ご勘弁を!」

「えー どうしよぉー」

「な、何卒 ご内密に!!」

「…対価は?」

「何なりと!!!」

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謙虚な私は、大騒ぎになるのもあれなので、若干寂しかった財布の中身を、それなりに補充して貰う事で、手を打ったのでした♡



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魔法のお話



    

    
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食べるしかない

「これが…」

閑散とした放課後の教室。

机の上に佳奈さんが置いた包装された小箱に、一子さんが身を乗り出します。

「─ 噂の銘菓『夢旅人』?」

「そう」

「…綾は?」

「今日は、都合悪いんだって」

手に取った箱を宙に浮かせた一子さんは、底に描かれた日付を確認しました。

「消費期限が短いから…今日2人で食べるしかないねぇ」

「一番楽しみにしてたんだけどねぇ。綾ちゃんが」

「運の悪い子」

再び机に戻された小箱の包装紙を、佳奈さんが丁寧に解き始めます。

「綾ちゃんは、次の機会って事だね…」

「代金、2人で折半かぁ」

佳奈さんは、包装が取り除かれた箱の蓋を開けました。

「3個入り」

「1人1個と半分…」

顔を上げた一子さんが、ニヤリとします。

「─ でも それだと、面白くないよね。」

「え?」

「何かで対決して勝った方が、2個取る事に しよう!」

「一子ちゃんって…そう言うの、好きだよねぇ」

「で、何で勝負する?」

「早くリーマン予想を証明出来た方が勝ち」

「…それ、100万ドルが貰える難問だよね?」

「じゃあ、先に どこに邪馬台国があったかを証明出来た方が…」

「何でお菓子1個のために、古代史マニアに挑戦しないといけないの!」

「だったら…じゃんけん。」

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「最初はグー」

教室に、一子さんが声を響かせました。

「じゃんけん、ぽん!」

2人の前に、3つ目の手が差し出されます。

「え?」

驚いて顔を上げた佳奈さんに、新たな手の持ち主は尋ねました。

「で、勝利者には、どんな栄冠が もたらされるの?」

「き、桔葉さん!?」

「机の上のお菓子を…3つ食べる権利?」

伸びた桔葉さんの手の甲を、一子さんが叩きます。

「1個だけ!」

「…ケチくさいわねぇ」

躊躇なく  お菓子を1つを手に取り、頬張る桔葉さん。

咀嚼されたタイミングを狙って、一子さんは手を差し出しました。

「500円、頂きます」

「へ…?!」

「物凄く美味しかったでしょ? お・か・し」

一子さんが、桔葉さんに迫ります。

「私達が割り勘で買った、と・く・べ・つ・な お取り寄せ なんだからね!」

「─」

「まさか、食い逃げするつもり?」

「わ、判ったわよ!」

ポケットから財布を出しながら、桔葉さんはボヤきました。

「どうして私は…こんな所で、お金なんか払う羽目に なってる訳?」

「これに懲りたら、通りすがりのじゃんけんには、迂闊に混ざらない事だね」

「肝に銘じるわ。。。」



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佳奈さんのお話


一子さんのお話

桔葉さんのお話


    

    
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