銀曜日の戯言

領国は越前敦賀 官位は従五位下 官職は刑部少輔

「契りあらば 六の巷に まてしばし おくれ先立つ 事はありとも」

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当ブログでは、コミックや文字本の、興味深かったエピソードや、個人的な駄文、オリジナルの作話を掲載しています。

作話

既視感。

立っていたのが。」と同設定の連作です。

 *連作 「双子と三つ子

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「華ちゃーん」

自分の名前を呼ばれ、私は振り返ります。

「あ。ショッピングモールに、2人も来てたんだ…」

近づいて来たのは、亜子さんと佳子ちゃんでした。

2人は、私と同級生の双子さんです。

─ 何故か、顔も背格好も、私と瓜二つの。

姉の佳子ちゃんは大きく、妹の亜子さんは小さく手を振りました。

双子コーデの2人に、私も手を振り返します。

そのお揃いの服に、何故か感じる既視感。

何気に、自分の服装を確認して、私は固まりました。

振っていた手が、中途半端に止まったので、佳子ちゃんが駆け寄ります。

「どうしたの? 華ちゃん」

「ふ、服が…」

少し遅れて来た亜子さんは、私と佳子ちゃんの服装を見比べました。

「あ!?」

笑顔の佳子ちゃんが、私と亜子さん それぞれに、自分の腕を絡めます。

「3人、お揃いだね♡」

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「私達と同じ様な服、良く持ってたねぇ…」

先を歩く亜子さんは、自分の肩越しに振り返りました。

俯き気味の私の腕を、佳子ちゃんが引っ張ります。

「お揃なの…恥ずかしがってる?」

「こう言うの、初めてなんで…」

「─ いつも学校で お揃なのに!」

「え…?」

ショッピングモール吹き抜けに面したベンチエリア。

その入り口で、私は立ち止まりました。

「─ もしかして、制服の事言ってる?」

「3人、おんなじ服だよね♡」

先に座っていた、亜子さんの隣に勢い良く腰を下ろす佳子ちゃん。

手招きに応じた私は、2人が座るベンチに向かって歩き出します。

「学校の制服を『お揃』とは言わないと思う。。。」

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「は・な・ちゃーん」

名前を呼ぶ声に、私は反応しました。

「さ、多美さん?」

「ほら いたー」

私達を指差さす背後には、佐美さんと奈美さんの姿。

3人は、私と同級生の三つ子さんでした。

─ 何の偶然か、その姿形は、複写したかの様に、私にそっくりです。

長女の奈美さんが、次女の多美さんの耳たぶを引っ張ります。

「公共の場で、大きな声を出さないで下さい。」

ベンチの前に移動した三女の佐美さんは、座っている2人に問い掛けました。

「どっちが あぁで、どっちが かぁ?」

佳子ちゃんが、勢い良く手を上げます。

「かぁは私です。佐美姉さま!」

ハグを始める佳子ちゃんと佐美さん。

その様子を目で追っていた私は、ある事に気が付きます。

「え?!」

私はベンチから立ち上がりました。

双子さん、三つ子さん、自分の順で、コーデを確認します。

「ろ、6人の服…おんなじ!?」

言葉に反応した5人は、お互いと自分の服装を見比べました。

「ほんとうだ!!」

奈美さんと多美さんが、顔を見合わせます。

「こんな事って、あるんですねぇ」

「双子ちゃんや華ちゃんとは、何の示し合わせもしてないのに…」

両腕を開いた佐美さんに、佳子ちゃんは抱き付きました。

「… これは運命よね!」

「凄いです♡」

亜子さんが、何気に呟きます。

「この状況で、1人だけ違う服だったら…かなり恥ずかしいかも だね」

同じ姿形の6人中で、5人は お揃いなのに、1人だけ服装が別。

そんな悪目立ちの状況に、私は身震いしました。

「今日のコーデ、皆と同じで、本当に良かったぁ。。。」

    

    
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して下さい♡

「今年の誕生日は…」

いつもの喫茶店の いつもの席

目の前に置かれた、花火付きスペシャルかき氷から目を逸らさず、葉月さんは呟きました。

「─ 花束を、プレゼントして下さい♡」

線香花火の閃光の様な、細かい花状の火の玉に見入っていた真一くんが、我に返ります。

「え!?」

「何で『え!?』なんですか?」

唇を尖らせた葉月さんに、真一君は口を引き結びました。

「花なんか…買った事ない」

「世の中には『お花屋さん』って場所が有ってですねぇ…」

「それぐらいは、知ってる。」

真一君の視線が、向かいのテーブルの真上の照明まで移動します。

「じゃあ、宅配サービスの花を頼んで…」

「シンちゃんが、私に手渡し してくれないと、駄目です!」

救いを求める目で、真一君は葉月さんを凝視しました。

「…花屋で花を買うのが、恥ずかしいんだけど。。。」

「そこは、頑張って下さい♡」

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「花束は…」

かき氷にトッピングされたフルーツを、葉月さんがスプーンで掬います。

「─ デートの最初に、渡して欲しいです♡」

半分のぐらいまで減った宇治金時から、真一君は顔を上げました。

「…は?」

口にフルーツが到着する寸前で、葉月さんのスプーンが止まります。

「その『は?』は、なんですか?」

テーブルにスプーンを置く真一君。

「…葉月ねーちゃん」

「何でしょうか? 真一さん」

「最初に花束を渡すのは、構わないけど…」

テーブルの葉月さん側に、軽く身を乗り出します。

「そうすると…デートの間中、ずっと花束抱えて歩く事になるけど…大丈夫?」

「あ…」

真一君は、固まった葉月さんに気が付かないフリをして、自分のスプーンを手に取りました。

「1人で花屋に行っても、よく判らいから…」

「…」

「葉月ねーちゃん。デート終わりに、一緒に行って…選んでくれるかな?」

「し、仕方ないですね。。。」

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「ところで…」

真一君の声に、マンゴー色の氷の山に集中していた葉月さんが反応します。

「何ですか?」

「花瓶」

「…はい?」

「─ 当然…あるんだよね?」

「あ、有る筈です。家中、探せば…」

目を逸した葉月さんを、真一君は大げさに睨みました。

「花のプレゼントを ねだって、それを飾る花瓶…無いんだ?」

俯く葉月さん。

怒ったフリをしようと、真一君は表情を引き締めます。

言葉が口から発せられる寸前、葉月さんは顔を上げました。

「今から、花瓶を買いに行きしょう!」

「…へ?!」

「気合い入れて、立派なのを買いますね。」

二の句が継げない真一君に、葉月さんが微笑みます。

 「だから…それに負けない様な、素敵な お花をプレゼントしてくれないと駄目ですよ? シンちゃん♡」



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葉月さんのお話



    

    
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足音を忍ばせて。

珍しく残業も無く、定時で帰宅出来た ある日の事。

いたずら心を起こした私は、呼び鈴を押さず、自分の鍵で玄関を開けた。

真っ暗な廊下。

不審に思いながら、何故か足音を忍ばせて、先に歩く。

やはり明かりが付いていないリビング。

音がしない様に気を付けながら、ドアを開ける。

室内に足を踏み入た瞬間、キッチン方向から気配を感じた。

ゆっくりと視線を動かす。

─ そこには、真っ暗な中、包丁を手にして妻が佇んでいた。

不意に出そうになった声を、手で押さえる。

俯いている妻は、私には気付いていないようだった。

気配を殺して後ろに下がり、急いでリビングのドアを閉める。

身体の震えを自覚しながら、物音を立てない様に玄関まで戻った。

もどかしげに靴に手を伸ばし、少しだけ開いたドアから、外に出る。

静かにドアを閉めた私の身体は、LEDが灯るマンションの廊下で、弛緩した。。。

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靴を履き直し、身仕舞いを整えた私は、呼び鈴のボタンにゆっくりと指を伸ばす。

─ ピンポーン-

暫くの沈黙のあと、ドアがゆっくりと開かれた。

「おかえりなさーい!」

「た…ただいま。」

「…今日は早かったのね♡」

「そ、そうなんだ…」

「─ どうかした?」

「い、いや。別に。。。」

「今日は…あなたの大好きな…オムライスよ♪」



    

    
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紀之介
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