銀曜日の戯言

領国は越前敦賀 官位は従五位下 官職は刑部少輔

「契りあらば 六の巷に まてしばし おくれ先立つ 事はありとも」

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当ブログでは、コミックや文字本の、興味深かったエピソードや、個人的な駄文、オリジナルの作話を掲載しています。

作話(再)

クッキー断ち。。。

「葉月がしてる、クッキー断ちの願掛けって…」

尋ねる如月さんの言葉が、途中で遮られます。

「願い事を人に教えたら、叶わなくなってしまうので、申し訳ありませんが、教えられません。」

如月さんは、若干ムキになっている葉月さんを往なしました。

「願い事の内容とかは、どうでも良いんだけど。。。」

「─ 私のお願い事は、どうでも良い事なんかじゃ、ありませんから!」

「…クッキーを食べるのを我慢すると、誰が葉月の願い事を叶えてくれる訳?」

「そりゃ…神様ですよ。」

葉月さんは、呆れた様な声を出します。

「・・・」

何か言いたげな如月さんに、葉月さんは、不満気に迫りました。

「神様なんか いるはずがないとでも、仰るつもりですか?」

「そんな事、言うつもりは無いけど…」

「じゃあ、何でしょう。」

刺々しく言うを葉月さんに、如月さんは問い掛けます。

「何で葉月は、クッキーを食べるのを我慢する事にしたの?」

「─ 私が大好きな、食べ物だからです」

「クッキー断ちした葉月の、願い事を叶えてくれるのは、どんな神様?」

「…え?」

思いがけない事を聞かれて、葉月さんは声を詰ませました。

しかし、直後には、勢い込んで答えます。

「─ ク、クッキーの、神様ですよ!」

「…」

「クッキー神様が、私が好物を、一生懸命我慢する姿に感銘を受けて、願い事を叶えてくれるんです!!」

必死に主張する葉月さんに、如月さんは言いました。

「─ 願い事を叶えてくれるのが、クッキーの神様だったら、クッキー断ちって、まずいんじゃないの?」

「何で…ですか?」

「…もしクッキーの神様がいるなら、それって、世界中で、より沢山のクッキーが食べられる事を、推奨する神様だったり、しないかな?」

「─」

「クッキー断ちって、クッキーを食べない努力をする訳だから…クッキーの神様の、機嫌を損ねる事になる様な気がするんだけど…」

「…」

葉月さんは、自分が思いもしなかった理屈を聞かされ、唖然とします。

「─ 願掛けのクッキー断ちで…クッキーの神様が、機嫌を損ねる…」

そう呟いた後、沈黙しまう葉月さん。

「そう言えばさぁ…」

この話は、もう止めた方が良いと判断した如月さんは、話題を変えようとしました。

それを遮るように、葉月さんは、ある決意を口にします。

「私、クッキー断ちは止めます!」

「え?」

思わず声を上げてしまった如月さんは、葉月さんに尋ねました。

「…願掛けは、もういいの?」

「それは、続けます!」

「どうやって?」

「とにかくクッキーを食べて、それでクッキーの神さまのご機嫌を取って、願い事を叶えてもらうんです!!」

「─ それって…単なる、好物の大食い。。。」

「クッキーの神様に、喜んで貰うためですから、仕方ありません!」

「好きなもの、好きなだけ食べたからって、願いを叶えてくれる様な神様は、何処にもいないと思けど。」

「じゃあ、願い事を叶えるために、どんな願掛けをすれば、良いと言うんですか?」

「…何で、願掛けが大前提なの?」



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葉月さんのお話


如月さんのお話


    

    
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気配。

「…何か、気配がします」

部屋で、いきなり葉月さんは立ち上がりました。

続いて、キョロキョロと、辺りを伺いだしたのです。

突然の出来事に、話し相手だった芽生子さんが あ然となります。

暫くして、葉月さんの視線は、ある鞄に固定されました。

視線を追った芽生子さんは、葉月さんに聞きます。

「─ 私の鞄が、どうかし…」

芽生子さんが言い終わるのをまたずに、素早く鞄に手を伸ばす葉月さん。

「ちょっと葉月!人の鞄を、どうするつ…」

最後まで言わせず、開けた鞄から紙袋を取り出した葉月さんは、芽生子さんの目の前に突き出します。

「これ、クッキーですよね?」

「…そうだけど。」

「私の大好物、なんです…」

「─ だから、何?」

「私今、クッキー断ちをしてるんですよ!願掛けで。」

「…は?」

「何で…こんな意地悪、するんですか?」

葉月さんのあまりにも不条理な物言いに、芽生子さんは むっとしました。

「…別に、あなたに食べさせるために、持って来たワケじゃないって、知ってた?」

その言葉を聞いた葉月さんは、自分のしでかした事に気づきます。

「…あ。」

我に返った葉月さんに、芽衣子さんは問い掛けました。

「人の鞄を勝手にあさって、文句言う人って、どう思う?」

「…よ、良くないと…思い、ます」

答えてシュンとなった葉月さんに、芽衣子さんは意見します。

「─ 何をするにしても…周りに迷惑かけない様に、やってくれると、嬉しいかな。」

「も、申し訳…ありま、せん」

「いくら願掛けでも、クッキーを、匂いじゃなくて、気配で探すように様になる程自分を追い込むのは、止めた方が良いと思うけど。」



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葉月さんのお話



    

    
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物好き…

「ここって、幽霊が見たい、物好きな人が集まる部屋なんでしょ」

開いていたドアから入ってきた見知らぬ女性に、大学の心霊研究会員の葉月さんは複雑な表情で答えます。

「…まあ、物好きなのは、否定はしませんけどね」

「私、お菊っていうんだけど…」

いきなり、自己紹介を始めた女性に、葉月さんは確認しました。

「─ どんな御用ですか?」

お菊さんは、嬉しそうに要件を告げます。

「…幽霊が出る場所があるんで、教えてあげようと思って、来てあげたんだけど」

葉月さんは訝しげな顔で聞きました。

「…そんな場所、あるんですか?」

「うん。私が出てる場所なんだけどね」

「─ え?」

「笹本公園の、井戸の跡知ってる?」

「…北側の、金網で囲まれてるところですよね」

「そう!そこに、丑三つ時近くに来てみてよ。」

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「…嬉しいな!ちゃんと来てくれたんだね」

街灯のお陰で、それなりに明るい夜中の公園。

井戸まで数メートルの辺りに、立ってたお菊さんは、満面の笑顔になります。

抱きつかんばかりの彼女に、葉月さんは聞きました。

「あなた、本当に…幽霊さん、なんですか?」

お菊さんは、頷きます。

「化けて出ても…最近は、見てくれる人がいなくて、つまらなかったんだよね」

「…そう言うもの、なんですか?」

「だから、色々な人に、声を掛けてみたんだけどね」

「─ 営業みたいな事…してるんですね」

「ちゃんと来てくれたのは…あなたが初めて!」

「…」

今更ながら、幽霊に勧誘されて、出向いた自分の迂闊さに思い至る葉月さん。

そんな彼女に、お菊さんは話し掛けます。

「ぼちぼち丑三つ時だから、ちゃんと見てね!」

「…はい?」

「時間になったから、今から化けて出るから!」

「─ えーとぉ…」

お菊さんは、戸惑う葉月さんは一向に頓着しません。

「遠慮なんかしないでね? 井戸の近くまで寄って…見てくれていいんだからね。」

そう言い残して、お菊さんの姿は、忽然と消えます。

「…え、何?」

寒くもないのに、突然背筋に、寒気を感じる葉月さん。

その瞬間、側面も上も、金網で囲まれた井戸の上方に、着物の女性が現れたのです。

「─」

葉月さんは、その場から動く事も、言葉を出す事も出来ません。

井戸から現れた女性は、聞こえないほど小さいのに、何故か耳まで届く声で、手にした皿の枚数を数え始めます。

「…1枚…2枚…3枚…」

あの世からの響いてくるかの様な声の数える枚数は、ゆっくりと増えていきました。

「…7枚…8枚…9枚…」

数え終わった女性は、無念そうに呟きます。

「1枚足りない…」

目を逸らす事が出来なかったのでに、一部始終を見届けた葉月さんは、その正体を理解しました。

「…さ、皿屋敷の、ゆ…幽霊。。。」

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「…また、来てくれたの?」

翌日の夜中、公園に現れた葉月さん見て、お菊さんは驚きの声を上げます。

「結局昨日、走って逃げて行っちゃったんで、もう会う事もないのかなって…」

「…心霊研究会員として、あるまじき行動を取ってしまい、恥ずかしいと思っています」

葉月さんは、お菊さんに、意味不明な謝罪をしました。

そこでお菊さんは初めて、彼女の同行者に気が付きます。

「…1人じゃ、ないの?」

「話をしたら…自分も是非とも見たいと言うので、連れて来たんですが…ご迷惑ですか?」

「そんな事ない!」

伺う様な葉月さんの言葉に、お菊さんは笑顔で答えました。

「見てくれる人が多い方が、出る張り合いがあるから、どちらかと言えば、大歓迎♡」

「─ こう言うのはあれですが、それって多分、お菊さんに限って…ですよね?」

「…さあ、どうなんだろう?」

時計を確認した同行者に促されて、葉月さんはお菊さんに確認します。

「…時間、大丈夫ですか?」

「ホントだ…じゃあ、頑張って幽霊、してくるからね!」

「今日は、走って逃げたりしませんから。」

葉月さんの言葉に、ニコニコ頷いたお菊さんの姿が、忽然と消えました。

それと同時に、井戸の上方には、幽霊が現れます。

「…1枚…2枚…3枚…」

そして、昨日と同じように、皿の数を9枚、数えたのでした。。。

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「葉月、また今日も、来てくれたんだ♡」

翌日の夜中も、大喜びのお菊さん。

「昨日は、連れが、みっともなく逃げ出す姿を見せてしまって…」

済まなそうな葉月さんを、お菊さん慰めます。

「─ 初見の時には、仕方ないって!」

「汚名返上したいと言う事で、本人も来ています」

挨拶する様に促すと、葉月さんの後ろから、数人が明るい所に出て来ました。

「昨日の子だけじゃ…ないんだ。」

「研究会のメンバーです」

葉月さんは、一通り、同行者を紹介します。

「他にも見たがってる会員がいるんですけど…明日、連れて来ていいですか?」

聞かれたお菊さんは、困った様な表情を浮かべました。

きっと即答で応じてくれると思っていた葉月さんは、戸惑います。

「ごめん、明日だけは、ちょっと まずいんだ」

申し訳無さそうに、お菊さんは言いました。

「命日は…化けて出ちゃいけないって、決まってるんだよねぇ…」

「─ 明日が、そうなんですか?」

「…ごめんね」

申し訳無さそうに頷くお菊さんを、葉月さんは取り成します。

「そんな…どうしても、明日じゃないと駄目だって訳でもないですし、気にしないで下さい。」

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丑三つ時になり、昨日と同じように、幽霊のお菊さんが井戸に現れます。

「…1枚…2枚…3枚…」

そして、いつもの様に、皿の枚数を数えました。

「…7枚…8枚…9枚…」

見守る葉月さんたちが、これで終わりだと思った時、予想外の事がおきます。

「…10枚…11枚…12枚…」

お菊さんが、皿の枚数を数えるのを、止めなかったのです。

「…16枚…17枚…18枚」

暫くの沈黙の後、我慢できなくなった葉月さんは、お菊さんに聞いてみます。

「…あの!」

「何?」

「─ お菊さんって、10枚の皿が1枚足らないからって責任を問われて、それで殺された恨みで、化けて出てきているんですよね?」

「そうだよ!」

「今お皿…18枚って ─」

「…今日と、明日の分♡」

「え?」

「─ 明日、私がお休みで、葉月達に来てもらえないから…その埋め合わせで、2日分、数えておいた!」



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葉月さんのお話



    

    
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紀之介
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